第 6 回 磯 永吉 (いそ えいきち)[1886-1972]
《「台湾蓬莱米の父」「台湾農業の父」》

写真提供:福山市 文化観光振興部 文化振興課
磯小屋(磯永吉小屋)
(写真提供:門井俊氏)
「蓬莱米の母」末永仁
※蓬萊米 日本統治下の台湾で品種改良に成功した日本米(ジャポニカ米)の総称。
「蓬萊」とは、中国の伝説で東方の海上にある仙人が住む土地で、「台湾」の別名でもあることから、永吉が「蓬莱米」という名を提案。
[誤解①]
✖️蓬莱米は、台湾米(インディカ米)と日本米(ジャポニカ米)との交配で生まれた米。
○蓬莱米は、日本米(ジャポニカ米)同士を交配してできた日本米(ジャポニカ米)。
[誤解②]
✖️台中65号の別称が蓬莱米。
○蓬莱米は、特定の一品種を指す名称ではなく、台湾で栽培に成功した日本米(ジャポニカ米)の総称。現在、台湾で栽培されている米は「台中65号」の遺伝子を受け継いだ品種。
※「蓬莱米の母」末永仁(すえなが めぐむ) 農業技師・末永仁は、永吉の片腕として活躍。研究活動において理論面を永吉、実践面を末永が担当、2人の良好な関係は後に大きな成果を上げることにつながり、永吉の「蓬莱米の父」に対し、末永は「蓬莱米の母」と呼ばれました。
※ 「台湾に影響を与えた50人」 台湾の書籍『影響台湾50人』(圓神出版社、2002年)「台湾に影響を与えた50人」の中で、永吉は日本人12人のうちの一人として選ばれています。他には明治天皇、後藤新平、八田與一らが選ばれています。
《参考文献》
・『台湾を築いた明治の日本人』
渡辺利夫
産経新聞出版 2020年
・『日本人、台湾を拓く。』
早川友久 他
まどか出版 2013年
・『台湾を愛した日本人Ⅲ 台湾農業を変えた磯永吉&末永仁物語』
古川勝三
創風社出版 2022年
・『福山市立大学都市経営学部紀要「都市経営」No.13 台湾蓬莱米の父・磯永吉の生涯とその功績』
八幡浩二・辻水衣・鈴木悦美
福山市立大学 2020年
・『凜として 日本人の生き方』
産経新聞「凜として」取材班
産経新聞ニュースサービス 2005年
・『世界を変えた日本と台湾の絆』
黄文雄
徳間書店 2018年
《協力》
・古川勝三氏
・八幡浩二氏
・門井俊氏
[初出/FMふくやま月刊こども新聞2022年1月号]